Ryuichi Sakamoto : CODA を観て、思うこと。

坂本龍一の2012年から5年間を追ったドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto: CODA 』。
公開後、多くの反響をいただいております。思いのこもった声の数々をこちらでご紹介いたします。

[ 感想 ]大貫妙子が語る「CODA」

坂本さんは犬の耳を持っている。猫かもしれないけれど。

どの辺の周波数かはわからないけれども。

「涙がとまらない」と言って、目頭を押さえていたことを思い出します。

もう、若い頃の話ですが。

耳は最後まで生きていると言われるので、きっと、いや絶対に衰えてはいない。

シンバルを弓で、ギーッと鳴らしながら「ほら~いい音でしょう!!」

と、ニンマリする顔は、まるで子どものようで、幸せにしてくれます。

つまり、常人の耳では坂本さんの聞いている音を再生することはできないということかもしれません。羨ましいですねぇ。

何か、とても間違っているよねこの世の中。

と思う人はきっとたくさんいるのに、心の中に抱えたまま、ただ辛い。

坂本さんはそれに対して答えるでもなく、でもあたりまえのことのように

行動し、疑問を提示し、先へと進んでいく。

曲を書くというのは身をすり減らす作業で、病気明けなのに大丈夫だろうかと思うけれども、ほっておくとまたいい気になる細胞を、音楽という身体の内から癒す方法できっとやっつけているに違いない。

CODAはドキュメンタリーですが、監督の思うストーリーが前面に出てしまう、 

ということがまったくない、坂本家の家族の肖像です。とてもあたたかい。

スタジオでの録音風景、自宅での制作過程、めんどくさがりやなのに宝ものに出会ってしまうと夢中になる旅の記録。

映画館に足を運んで一度見ましたが、また見たい、さらにまた見たいと思う

素晴らしい作品です。